更科
以前、お話を伺った時は京都アニメーションの社長さんも交えての三人だったんですが、今回は単独インタビューということで(笑)。
そして、今回は武梨えりさんの漫画『かんなぎ』のアニメ化になるとのことですが、まずは『かんなぎ』という作品と山本さんの出会い、そのあたりからお聞かせいただけますか?
山本
京都アニメーションを、というかアニメーションDoなんですけれども、そこを辞めることになって、とにかく次の仕事が無いということで危機意識を持ちまし
て、旧知の仲だった水島努さんに相談したんです。『ジャングルはいつもハレのちグゥ』からずっとお世話になっていて、アニキ的な存在というか、辞めると
なってパッと浮かんだのが水島さんだったんですね。
そうしたら、水島さんから、さっそく会ってもらいたい人がいるということで、紹介していただいたのが、更科-1Pixturesの落越友則・清水暁プロデューサーだったんですね。そこで、まずいただいた仕事が『おおきく振りかぶって』のエンディングです。
そこから更科-1さんとのご縁がはじまりまして、また、自分でも『おお振り』をやりつつ、営業活動をしていたんです。辞めてから会社を立ち上げるまでに何
回か東京に通って、『撲殺天使ドクロちゃん』のハルフィルムメーカーさんともご縁ができたんですけども、07年の夏に落越プロデューサーから改めてご連絡
いただいて、大阪まで行くから会って欲しいと。
東京の方が発注する時って、電話一本だったり、あるいは東京に来て下さい、なんですよね。でも、落越さんは大阪まで行きますうから、とりあえず会いましょ
うって。来てくれるんだったら会わないと失礼だと思って、梅田の喫茶店でお会いしたんですね。そしたらとりあえずこれ、読んでみて下さいって『かんなぎ』
の一巻を渡されたんです。当時の僕はもう、井のなかの蛙が大海に出た、という感じでしてね。本当に右も左も分からんし、どうすりゃええねん、って。とりあ
えず日銭を稼ぐことはできるだろうけど、長期的な展望が全く見えなかったんで、だから、『かんなぎ』の話をいただいた時はうれしかったんですけど、さすが
にこれは僕には合わない、という場合もあるんで、とりあえず預かります、と答えたんです。
で、まあ、読んでみたんですよ。そうしたら、パッと開いた瞬間になんか直感的なものを感じて、これはもう直感です。『ハルヒ』の時も、『らき☆すた』の時
もそうだったんですけど、僕はパッと開いた瞬間のファーストインプレッションで決めてしまうんです。最初はお見合いみたいなもんですね。会った瞬間、あ、
なんか付き合えそうやな、じゃあ、お付き合いしましょうか、と。そんな感じで落越さんに返したんですね。
- 〈デタラメな奇跡〉としてのアニメ - PLANETS VOL.5