“◆ウインド戦略とは?
宮河:
まずウインド戦略とは何かということですが、今までは映画が出てから何ヶ月ウインドを開けてDVDを出しましょうとか、そういう期間を取ることをウインド 戦略と言っていました。昔は映画を公開して6ヶ月してからDVDが出たりしていたんですが、その期間がだんだん短くなって、今では4ヶ月くらいでしょう か。洋画劇場なども今のウインド戦略の中ではDVD発売後です。これは法律で決まっていることではなく、まったく単なる大人の事情です。
例えば「ソーシャルネットワーク」を 映画館で見て、これ面白いな、Blu-ray欲しいなと思うとします。それが3ヶ月後とか4ヶ月後、街を歩いてBlu-rayが売っていたとしても、ほと んど買わないんですよね。もう忘れてるから。入ってくる情報量がこれだけ多いと、3ヶ月とか4ヶ月後になったら、よっぽど欲しい物以外は忘れられてしまう と思うんですよ。
でも大人の事情を言う人たちは、映画と同時にDVDやBlu-rayを売った場合映画館に人が来なくなるんじゃないかと考えるようです。顕著な例で言えば、バンダイビジュアルで機動戦士ガンダムSEEDという番組をNTTフレッツで見られるようにしたんですが、テレビ局からは視聴率落ちたらどうするんだという話がありましたし、バンダイビジュアルの会社からはネットでやったらDVD売れなくなるでしょという話がありました。8年くらい前の話ですね。
これもみんなが各社の利益代表という顔をしながら、消費者のことをまったく考えてなかった結果だろうなと思います。僕はこれをおかしいなとずっと疑問に思っていて、どこかで変えていきたいという気持ちがすごくありました。
◆新しいウインド戦略の波紋と結果 宮河
それで、まずやはり有料配信が物議を醸しまして、有料配信をしちゃうと映画館に人が来ないんじゃないかとずいぶん映画関係の人から言われました。でも僕は「関係無いよ」と。映画館というの大きな画面で見るわけだし、有料配信っていうのはネットで見るので限られたサイズの画面でしか見られないということで。ただ実は有料配信に関してもクオリティの高いものを見てもらいたいというのがありましたので、安定的なHDが見られる環境でPlayStation Network(PSN)が当時一番だったのと、ガンダムUCのターゲット層がPS3の購買層と合致したので、PSNと組んで最初はHDで独占配信しました。ちなみにここでも面白いデータが出て、HDとSDでのネット配信では、HDの購入数のほうが圧倒的に多かったです。
結果的にイベント上映、有料配信、そしてBlu-rayがどういう効果をもたらしたかというと、おかげさまで成功だったと思います。エピソード2のときは、映画館用に5000枚用意したBlu-rayが1日で売り切れてしまいましたので、エピソード3では1万枚は用意しようと思っています。公開している映画館10館でそれだけ売れて、一般市場では20万枚を超えるヒット作と考えています。先ほど言ったPSNでも非常に高い数字が出ていますので、みんなが考えてる大人の事情のウインド戦略っていったいなんだったんだろうな、というのが今の感想ですね。
僕はいつも営業戦略を考えるとき、自分だったらどうかなってことしか考えてなくって、映画館で見たときはその場でBlu-rayが欲しい、忙しくて映画館に行けないときはネット配信で見たい、そういうユーザー目線に立って考えています。今までの収益構造とか習慣を考えてものごとを進めても、ものは売れないし、お客さんも喜ばないんだろうなと思います。
ちなみにイベント上映は2週間に絞りました。劇場が終わった翌日から一般のお店でBlu-rayが買えるという形。映画館に行って、映画館では定価でしか売っていないので、2週間我慢してAmazonで買えば安くなるんですよね。だから映画館では売れないんじゃないかな、と思っていた部分が正直に言うとありました。それで5000枚という数字だったんですが、エピソード2ではそのためにご迷惑をおかけしてしまいまして……多少安く買えることよりも2週間早く手に入れることを選ぶ人がたくさんいるんだな、ということがすごくよく分かりました。
お客様によっては人よりも早く買えることを、割引率よりも重視してくれる人がいると。ただそうは言っても同じ物を売るわけにはいかないんで、劇場で売る物はジャケットが違ったり、シナリオを付けたりしてます。”
- これからは大人の事情の戦略は通用しない、サンライズ宮河常務の語る今後のコンテンツ産業の新マーケティング - GIGAZINE
宮河:
まずウインド戦略とは何かということですが、今までは映画が出てから何ヶ月ウインドを開けてDVDを出しましょうとか、そういう期間を取ることをウインド 戦略と言っていました。昔は映画を公開して6ヶ月してからDVDが出たりしていたんですが、その期間がだんだん短くなって、今では4ヶ月くらいでしょう か。洋画劇場なども今のウインド戦略の中ではDVD発売後です。これは法律で決まっていることではなく、まったく単なる大人の事情です。
例えば「ソーシャルネットワーク」を 映画館で見て、これ面白いな、Blu-ray欲しいなと思うとします。それが3ヶ月後とか4ヶ月後、街を歩いてBlu-rayが売っていたとしても、ほと んど買わないんですよね。もう忘れてるから。入ってくる情報量がこれだけ多いと、3ヶ月とか4ヶ月後になったら、よっぽど欲しい物以外は忘れられてしまう と思うんですよ。
でも大人の事情を言う人たちは、映画と同時にDVDやBlu-rayを売った場合映画館に人が来なくなるんじゃないかと考えるようです。顕著な例で言えば、バンダイビジュアルで機動戦士ガンダムSEEDという番組をNTTフレッツで見られるようにしたんですが、テレビ局からは視聴率落ちたらどうするんだという話がありましたし、バンダイビジュアルの会社からはネットでやったらDVD売れなくなるでしょという話がありました。8年くらい前の話ですね。
これもみんなが各社の利益代表という顔をしながら、消費者のことをまったく考えてなかった結果だろうなと思います。僕はこれをおかしいなとずっと疑問に思っていて、どこかで変えていきたいという気持ちがすごくありました。
◆新しいウインド戦略の波紋と結果 宮河
それで、まずやはり有料配信が物議を醸しまして、有料配信をしちゃうと映画館に人が来ないんじゃないかとずいぶん映画関係の人から言われました。でも僕は「関係無いよ」と。映画館というの大きな画面で見るわけだし、有料配信っていうのはネットで見るので限られたサイズの画面でしか見られないということで。ただ実は有料配信に関してもクオリティの高いものを見てもらいたいというのがありましたので、安定的なHDが見られる環境でPlayStation Network(PSN)が当時一番だったのと、ガンダムUCのターゲット層がPS3の購買層と合致したので、PSNと組んで最初はHDで独占配信しました。ちなみにここでも面白いデータが出て、HDとSDでのネット配信では、HDの購入数のほうが圧倒的に多かったです。
結果的にイベント上映、有料配信、そしてBlu-rayがどういう効果をもたらしたかというと、おかげさまで成功だったと思います。エピソード2のときは、映画館用に5000枚用意したBlu-rayが1日で売り切れてしまいましたので、エピソード3では1万枚は用意しようと思っています。公開している映画館10館でそれだけ売れて、一般市場では20万枚を超えるヒット作と考えています。先ほど言ったPSNでも非常に高い数字が出ていますので、みんなが考えてる大人の事情のウインド戦略っていったいなんだったんだろうな、というのが今の感想ですね。
僕はいつも営業戦略を考えるとき、自分だったらどうかなってことしか考えてなくって、映画館で見たときはその場でBlu-rayが欲しい、忙しくて映画館に行けないときはネット配信で見たい、そういうユーザー目線に立って考えています。今までの収益構造とか習慣を考えてものごとを進めても、ものは売れないし、お客さんも喜ばないんだろうなと思います。
ちなみにイベント上映は2週間に絞りました。劇場が終わった翌日から一般のお店でBlu-rayが買えるという形。映画館に行って、映画館では定価でしか売っていないので、2週間我慢してAmazonで買えば安くなるんですよね。だから映画館では売れないんじゃないかな、と思っていた部分が正直に言うとありました。それで5000枚という数字だったんですが、エピソード2ではそのためにご迷惑をおかけしてしまいまして……多少安く買えることよりも2週間早く手に入れることを選ぶ人がたくさんいるんだな、ということがすごくよく分かりました。
お客様によっては人よりも早く買えることを、割引率よりも重視してくれる人がいると。ただそうは言っても同じ物を売るわけにはいかないんで、劇場で売る物はジャケットが違ったり、シナリオを付けたりしてます。”
- これからは大人の事情の戦略は通用しない、サンライズ宮河常務の語る今後のコンテンツ産業の新マーケティング - GIGAZINE