“ 実際に、日本の漫画・アニメ文化が中国には充分に浸透していることも肌で実感した。ホテル近くの町中の新聞・雑誌スタンドには日本の最新アニメ
(2010年10月番組)が表紙のアニメ雑誌が並び、ウルトラマンやちびまる子が表紙の児童向け雑誌もある。中国の作家が描いた漫画雑誌を見ると、イラス
ト技法的にはほとんど日本と差がない。テレビで見かけた中国製アニメでも「顔にタテ線が入ってブルーな気分」「後頭部に冷や汗タラリ」などなど、日本で開
発された「漫符」がごく自然なものとして使われていた。
となれば、日中アニメ文化は技術的には差がなくなってきているのだ。手描きにせよCGにせよ、アニメの制作は圧倒的なマンパワーの消費が必要であり、そ の点では中国の側に分がある。事実、『イヴの時間』でも、第4話の作画は中国に発注したという。もしも技術に差がないとすれば、講演で述べたような「技術 と芸術のハイブリッド」「両者をつなぐ思想」が日本にノウハウごと蓄積されてきたから、今のところは一日の長があるということなのではないか。
何かにつけて「日本のアニメは海外で評価が高い」とよく言われる。だが「なぜそうなのか?」という理由については、日本人自身がほとんどプロファイリン グできていない気がしている。筆者としては、あえて言語化するのであれば今回の講演で述べたような「技術と芸術のハイブリッド」が確実にキーになるように 思う。”
- 「中国アニメ講演旅行で感じたこと」 氷川竜介
となれば、日中アニメ文化は技術的には差がなくなってきているのだ。手描きにせよCGにせよ、アニメの制作は圧倒的なマンパワーの消費が必要であり、そ の点では中国の側に分がある。事実、『イヴの時間』でも、第4話の作画は中国に発注したという。もしも技術に差がないとすれば、講演で述べたような「技術 と芸術のハイブリッド」「両者をつなぐ思想」が日本にノウハウごと蓄積されてきたから、今のところは一日の長があるということなのではないか。
何かにつけて「日本のアニメは海外で評価が高い」とよく言われる。だが「なぜそうなのか?」という理由については、日本人自身がほとんどプロファイリン グできていない気がしている。筆者としては、あえて言語化するのであれば今回の講演で述べたような「技術と芸術のハイブリッド」が確実にキーになるように 思う。”
- 「中国アニメ講演旅行で感じたこと」 氷川竜介