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" あの文章には、かなりオソマツな作為と隠蔽が読みとれる。文章の攻撃目標である「新古書店」と「漫画喫 茶」の発展によって一番利益が減ったのは出版社であり、その出版社がこの運動を起こす最大の動機を持っている..."

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 あの文章には、かなりオソマツな作為と隠蔽が読みとれる。文章の攻撃目標である「新古書店」と「漫画喫 茶」の発展によって一番利益が減ったのは出版社であり、その出版社がこの運動を起こす最大の動機を持っている事は明白だがその事実には一言も触れないで 「漫画文化の危機」だの「コミックスの印税で、作家は生活し、創作活動を維持し、」だのと並べたて、いかにも漫画家が自分達の利益を守るため、漫画家全体 の総意であるかのような文章にしてあるが、これだけの漫画家達を動員できるのは誰か?また動員され名前を連ねている漫画家達が何故、小学館、講談社系の作 家なのか?この不自然さが逆効果になっていて、出版社が漫画家を矢面に立てて自らは、その陰に隠れて利益をあやつろうとしている構図を浮かび上がらせてい る。
 出版社から「お仕事」をもらっている関係にある漫画家は、出版社から、この様な企画を持ちかけられたら、ことわれる人は少ない。しかし、その弱点を突かれて従っている者ばかりが漫画家ではない。
 「創作活動の維持」は「単行本の印税」が入らない事によって、危機に瀕するかの如く書かれているが、それでは単行本に成る事の無い漫画家の「創作活動」は何なのか?!
 漫画家全員の作品が、単行本に成っていく訳ではない!
 雑誌には載っていても、あまり人気のない作品は単行本化しない出版社が「印税」を理由に漫画家の「創作活動」を云々するのは、ちゃんちゃらおかしいかぎりだが、あの文章は表面上、「漫画家側」の意見になっているので、それもいえないシカケなのだ。ずるい!
あ の文章を書いた人は、漫画家の「創作意欲」をナメている、という点でも漫画家のものではないと思わざるを得ない。先日亡くなった「あすかひろし」は広島で 土方仕事をしながら、原稿を書いていた。かの有名な「トキワ荘」で一番売れない漫画家と、いわれ、去年亡くなった「森安なおや」に創作の場を提供したのは 出版社ではなく、高校時代の同窓生だった。「少年ジャンプ」で、ことわられた経由になっている「少年期」という作品を亡くなるまで書いていた。現在73歳 で、かっては「ジャジャ馬君」や「ストップ兄ちゃん」で、一世を風靡した「関谷ひさし」は今も出版社の依頼ではない原稿を書いておられる。哀愁満々、胸を 打たれる迫力であるが、いづれも「印税なき創作活動」であり、弱輩の漫画描きと致しましては大いに励まされるものである。


- 「21世紀のコミック作家の著作権を守る会」緊急アピールに対するみやわき心太郎氏の意見(復刻転載)

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