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キュリー夫人(Maria S.Curie 1867-1934)は、白血病で死んでいる。今でこそ、X線や放射能はまず恐ろしいという印 象であるが、19世紀末から20世紀の30年頃までは、“体に力をつける不思議な万能薬”というとらえ方が普通だった。マリー・キュリーはその代表的な人 物である。娘イレーヌも夫フレデリック・ジョリオ=キュリーと共に2代にわたって夫婦でノーベル賞を受けている高名な研究者であるが、放射線に対して無防 備で、イレーヌもフレデリックも放射線障害で死亡している(それぞれ1956,58年没)。
キュリー家の夫婦2世代は伝記で見る限り、放射線障害に対する恐れが念頭をよぎることもなかったようであ る。X線機器を積んだ自動車で野戦病院を廻っていたとき、X線技師が不足していることに困ったマリーはラジウム研究所において女性技師を養成しようとする が、そのうちの1人の女子学生が放射線が怖いので「辞めたい」と申し出る。この時、マリーはそのような愚かな言動を怒ったことが記録されている。(マル チーヌ・ドギオーム『核廃棄物は人と共存できるか』緑風出版2001 桜井醇児訳の訳注p51)”
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