asahi.com(朝日新聞社):まるで酢こんぶ…マイクロフィルム資料劣化に悩む図書館 - 社会
古い文書や画像を記録したマイクロフィルムの劣化が、各地で問題になっている。酢のようなにおいを放ち、ワカメのようにゆがんでしまう「ビネガーシンドローム」。図書館などでは劣化を遅らせる工夫をしたり、新しいフィルムに複写したりするなど対応に追われている。
京都市内の私立大学の図書館。資料室に入ると、鼻を突くような酸っぱいにおいが漂っていた。原因は、貴重な仏典などを撮影したマイクロフィルムだった。10年ほど前、資料を閲覧した利用者の指摘で、異変に気づいた。フィルムが波を打ち、表面に白い粉が付いていた。まるで酢こんぶのような状態で、機器で映し出すこともできなかった。
この図書館では、2千本を超えるフィルムのうち、約半分がビネガーシンドロームになっている可能性があるという。担当者は「将来、大切な文献だと判明するフィルムも含まれているはず」と考え、マイクロフィルム撮影業者に対応を尋ねた。しかし、「修復は難しい」と言われた。大半のフィルムはそのまま残されている。
神戸市の兵庫県立大学の図書館も、ビネガーシンドロームに苦慮する。書庫には新聞を写したマイクロフィルム計約780本があるが、保管用の引き出しを開けると、目が刺激されるほどの酢酸臭。担当者は「においがひどく、困っている」と言った。