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- 東京都、いまだ思想統制への道をあきらめず、児童ポルノ規制条例の新案提出:松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
私たちの中にある欲望を確認したければ、pixivという一種のSNSを見 ればいい(本格的な閲覧のためには無料登録が必要)。pixivは、様々な人たちがイラストやマンガ、さらには自作の小説などをアップして見せ合うことを 目的としたSNSだ。つまりここにイラストやマンガをアップしている人は、ごく普通の人々の中の「たまたま絵が描ける人、絵を描くのが好きな人」というサ ンプルだと思って良い。
pixivは、「R-18」「R-18G」というゾーンニングを行っている。R-18は、「18歳未満閲覧禁止」、R-18G「グロテスクにつき18歳未満閲覧禁止」であり、これらのタグ情報が付いたコンテンツは、初期設定では閲覧不可になっている。
あなたが大人ならば、ゾーンニングを外して、R-18/R-18Gのタグの付いたコンテンツを、片っ端に見ていくことをお勧めする。そこでは、いわゆる「ヌルいエロ」から「目を覆うようなグロ」に至るまで、様々な欲望を見ることができる。
大切なのは、これらの欲望が、一部の特殊な者が抱くものではなく、pixivに集まってきたごく普通の人々の中から産み出されているということだ。度の 過ぎたエロもグロも、特別なものではない。私たちの身の裡に当たり前のものとして蠢いているのであり、ネット時代の進展に伴って可視化されただけなのだ。
そして、もっと大切なのは、絵や文字ですさまじいまでに背徳的な、下品な、衝撃的な表現がされていたとしても、直接の被害者は1人もいないということで ある。個々が「不愉快なものを見せやがって」と無視すれば、それで実質的な被害は生じない。社会としては組織的に無視をする仕組み、つまりゾーンニングを 提供すればいい。
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