ロシアの故ボリス・エリツィン大統領が亡くなる前の数年間、彼の後任となったウラジーミル・プーチン大統領(現首相)が築いた「金のかご」ともいえる監視下に置かれ、エリツィン氏は電話を盗聴されていると語っていたと、現政権批判で知られる野党指導者ミハイル・カシヤノフ元首相が主張している。
■隔絶された孤独な引退生活
カシヤノフ氏は、エリツィン氏はプーチン大統領の方針を快く思わず、またモスクワ郊外での引退生活に孤独を感じていたとしている。
またエリツィン氏は、「彼らはわたしの電話を盗聴している」と述べ、カシヤノフ氏に、監視を避けるためにエリツィン邸に電話するたびに新しい携帯電話を買ってかけるようにとも忠告したという。
また、プーチン現首相の命によって晩年のエリツィン氏に対する訪問も制限されていたという。プーチン現首相は閣僚全員に、彼らがエリツィン氏を訪問するとエリツィン氏を動揺させ、健康を悪化させるからという理由で、エリツィン氏を訪問しないよう求めたこともあるとカシヤノフ氏は指摘し、「これは表面上は協力の呼びかけだったが、実際は命令だった」と記している。「この『要請』の後、わたしとボロシン以外、誰もエリツィン氏に会いに行かなくなった」。アレクサンドル・ボロシン元大統領府長官とカシヤノフ氏だけが、エリツィン氏がクレムリン内で最後まで信頼できた2人だったという。
こうしたカシヤノフ氏の主張について、プーチン首相の広報を担当するドミトリー・ペスコフ首相報道官はAFPのインタビューで「コメントにも値しない」と一蹴した。
カシヤノフが語るエリツィン氏の晩年は、スターリン時代からの転換を進めたものの、1964年のクーデターで失脚し、事実上の自宅軟禁下で晩年を過ごしたニキータ・フルシチョフ(Nikita Khrushchev)ソ連共産党第1書記の姿と重なる。
”- 故エリツィン大統領、「晩年はプーチン政権監視下」と露元首相 写真3枚 国際ニュース : AFPBB News