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"フルヘッヘンド問題 『蘭学事始』の中で語られている『解体新書』翻訳時のエピソードの一つに、「鼻の所に『フルヘッヘンド』という語があったが意味がわからず、しばらく考えて『堆い(うずたかい)』のことだと判..."

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フルヘッヘンド問題

『蘭学事始』の中で語られている『解体新書』翻訳時のエピソードの一つに、「鼻の所に『フルヘッヘンド』という語があったが意味がわからず、しばらく考えて『堆い(うずたかい)』のことだと判明した」というものがある。有名な話であり、歴史の教科書にしばしば取り上げられている。

しかし、『解体新書』の原書『ターヘル・アナトミア』の「鼻」の部分には、フルヘッヘンドの単語はない。このことにより、『蘭学事始』の真実性を疑う声もある。

だが「胸」の章に、乳の形状の説明としてフルヘッヘンドの単語がある。

この問題については、いくつかの可能性が考えられる。

1. 説明をわかりやすくするための、杉田玄白による創作。
2. 『解体新書』には『ターヘル・アナトミア』以外にも数冊の蘭書が参考資料として使われていたので、どれかにフルヘッヘンドの単語があった。
3. 乳との記憶違い。
4. 「乳」の形状について真剣に議論したというのが、自分にとって恥ずかしいので、あえて「乳」を「鼻」と置き換えた。
5. 性的な部分についての話を記述するのは、一般向けの啓蒙書では不適切であるので、あえて「乳」を「鼻」と置き換えた。

杉田玄白の記述には、「木の枝を断ちたるあと、フルヘッヘンドをなし、庭を掃除すれば、その塵土聚(あつま)りて、フルヘッヘンドをなす」という訳注を見出したとある。とすれば、彼の理解した「フルヘッヘンド」とは、おおむね盛り上がった山形のことであろう。とすれば、それは鼻の形状ではなく、乳房の形状であるはずだ。また、乳房を「盛り上がった形」と認識することは自然だが、鼻を「盛り上がった形」と認識するのは不自然すぎる。したがって、故意か過失かは別として、「フルヘッヘンド」の記述が「乳」の記述であることは間違いないだろう。



- 蘭学事始 - Wikipedia

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