(質問)江川紹子さん:
フリーランスの江川です。
常岡さんのツイッターなんですけれども、9月3日の日本時間で夜だと思うんですが、英語のメッセージが2つはいってました。これは常岡さん自身が打たれたものなのか、そうであるとすれば、どういう環境の中で、なぜこれを打ったのかということ。
それから、その次のメッセージはドゥバイ空港なんですが、大使館ではこういうものを発信させてもらえなかったのかどうかを含めて、大使館での扱いについて伺いたいと思います。
(回答)常岡さん:
9月3日にツイッターにアクセスしたのは、そのときに私を拘束していたアブドゥルアジドという下級司令官の携帯電話を使って、GPRSでインターネットにアクセスして、そこからブラウザ上から書き込んだというものです。
(*)GPRS:GSM方式の携帯電話網を使ったデータ伝送技術。第2.5世代(2.5G)と呼ばれる技術の一つ。
彼はインターネットという言葉は知っているが、どういうものか知らない。その3日ほど前にノキアのN70という、彼らの中では非常に最新モデルの携帯をどこからか手に入れて持ってきまして、持ってきたけれども使い方が判らない。「シャミル、これわかるか?」と聞いてきたものですから、いろいろ説明していました。
(*)ノキアN70:2005年に発売された携帯電話の機種。軽量の200万画素カメラ携帯「Nokia N70」。
(*)シャミル:イスラム教徒である常岡さんのイスラム名。
で、これはチャンスだ! と思ったもんですから、「この携帯はインターネットを使うのに最適なんだ」というふうに彼に、事実だから騙してはいないと思うんですが、言いまして、「インターネットというものを使ってみたい。使えるようにしろ」というのが彼の命令で。
彼らの支配地域は携帯電話の3つの会社の電波が飛んでましたけども、そのうち2つの会社、3つともか、GPRSのシステムがちょうど始まったばっかりでした。
で、携帯会社のカスタマーケアに何度も電話をして、アクティベーションの設定をしまして、9月3日にようやく繋がった。
(*)アクティベーション:機能を有効にすること。この場合は携帯電話でインターネットを使えるようにする認証手続き。
繋がったはいいけど、インターネットとはなんぞやをよく知らない彼らは「どうやったらそれでアザディラジオが聞けるんだ?」とかですね、そういうことを聞いてきまして、「まずグーグルにアクセスしてアザディラジオとここに書いてみなさい、そうするとアザディラジオのウェブサイトが出てくるから」
「最近はツイッターというのが一番重要なのだ!」と言いまして、「それは何だ?」
「ここに一言書くと日本のたくさんのジャーナリストに伝わるんだ」ぐらいのことを言いまして、「やってみろ」と。
本人は今も騙されたとは思ってない。
(*)アザディラジオ:azadi radio、自由欧州放送(アメリカによるラジオ)のアフガン支部。Radio Free Afghanistan - Wikipedia
それから大使館での生活ですけれども、一泊させていただいただけなんですけども、ものすごく親切にしていただきました。
まず大使に食事を御馳走していただきまして、カレイの煮付けが出ました。
そのカレイの煮付けにものすごく感動しまして、輸入物の冷凍モノだと言われたんですけど、海の魚というだけでもう、全然いままでの食生活とは私にとっては違う。
幽閉されてたときは一度だけアムダリヤ川のフナを大量に採ってきてくれた人がいて、それを丸揚げにして食べました。私が内臓を出す作業をやった。
(*)アムダリヤ川:アフガニスタンと、タジキスタン・ウズベキスタンとの国境を流れる川。アムダリヤ川 - Wikipedia
大使館の中ではカレイの煮付けの次は、親子丼、それからカップラーメンも持ってきてくださいましたし、天ぷらも最後持ってきてくださいました。
本当に食べ物がうれしくてうれしくて、いまだに感謝に堪えない思いなんですけど、インターネットはごめんなさいここはつながりません、と言われました。
で、大使館に泊まったのは一晩だけでしたし、ドゥバイの滞在時間が7時間くらいありましたので、その間に日本のメディアの報道を見れるだけ見まして、各社がタリバンに拘束されていたと書いていたのにびっくりして、この件はちょっとぜひとも7時間のうちにツイッターで言っときたいと思ったものですから、その件だけツイッターで発信した次第です。
”- アフガンで拘束されていた常岡さんはどうやってツイッターに書き込んだのか? | kokumai.jpツイッター総研 (via bardiche-side-b)